大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(う)1837号 判決

被告人 田中秀雄

〔抄 録〕

刑訴規則一二三条は、証人は各別にこれを尋問し、後に尋問すべき証人が在廷するときは、退廷を命じなければならないと定めているが、右規定は訓示規定と解すべきであり、また、合理的な理由があるときは例外を許す趣旨のものと解すべきである。このことは証人と他の証人との対質を許す同規則一二四条の趣旨からもうかがわれるところである。ところで、所論は、原裁判所が証人菊池に対する尋問の途中で休廷後、証人中村、西田を在廷させ、右三名に対する尋問を行なった旨主張するのであるが、原審記録を調査しても、原裁判所の措置が所論のとおりであったと認めるべき資料は存在しない。所論規定の遵守は公判調書の必要的記載事項ではないので、その記載のないことは何らその違反を推定させるものではない。もっとも、記録及び当審における事実取調べの結果によれば、原裁判所は第三回公判において証人中村、同西田、同菊池の順に証人尋問を(後に尋問すべき証人を在廷させないで)行ない、菊池の尋問が終了した後菊池の証言に関連する事項につき西田に対して裁判官が補充的な尋問を行なったことは認められる。所論は主として原裁判所が右菊池に対する尋問中に西田を在廷させて西田が菊池の証言を聞いたうえで更に西田を尋問した旨主張し、これを非難するのであるが、菊池に対する証人尋問が行われた時点では、西田に対する尋問はいちおう終了していたのであるから、後に尋問すべき証人には該当しないというべきである。また、原裁判所が西田を後に更に尋問する意図で所論のように在廷させたものとしても、右措置は事実を明らかにするための合理的な理由にもとづくものであったと認められるから、刑訴規則一二三条に違反するものとはいえない。

(小野 斉藤 小泉)

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